
日銀総裁、ステーブルコイン「決済手段になり得る」財務金融員会で発言!
日銀総裁、ステーブルコインの利便性について言及!
5月13日の財務金融員会で、日銀の総裁である黒田東彦氏が仮想通貨のステーブルコインについて言及する場面が公開されました。日本維新の会のメンバーで参議院議員の音喜多駿氏は、金融関連の質疑の中で、アメリカドルと連動したデジタル通貨USDTやUSDCといったステーブルコイン発行とともに、取引量も増加していると指摘します。USDCの例では大手カード決済VISAが決済方法として利用開始をはじめ、FacebookのDiem(旧リブラ)の開発も進んでいる。また中国ではデジタル人民元(デジタルユアン)も話題の中心になってきていると説明しました。
一方、日本国内では事業者により既に発行されている日本円連動のステーブルコインは普及がすすんでいない。ただデジタル通貨による給与支払いの動きも徐々に見え始め、インターネットによる円会計や外貨獲得の促進による経済効果が見込めると解説。
その後、音喜多氏は日銀総裁黒田氏に「日本銀行としてステーブルコインをいかがお考えでしょうか?」と質問しました。黒田氏は「法的確実性、ガバナンス、オペレーションの頑健性やサイバー耐性が確保されれば、多くの人の利用しうる決済手段になり得る」と回答しています。
日銀黒田氏、ステーブルコインは海外でもまだ限定的
黒田総裁は、仮想通貨が背景となる資産がないため投機的であるのに対し、ステーブルコインは資産連動しているため、有効な決済手段になり得ると各国の中央銀行も考えていると述べました。しかし、現時点では海外での財源、サービス利用としては限定的で広く利用されるには至っていない、との見解を示しました。また民間機関での競争だけでなく、協調を得ることでキャッシュレスの決済システムを構築することができると話しました。
米ドル連動ステーブルコインの動向
ヨーロッパ最大の仮想通貨取引所といわれるBitstampのレポートによると、ステーブルコインの台頭が2015年初頭に暗号通貨取引所がテザー(USDT)を取引対象にしたことに始まります。テザー(USDT)は、1ドル=1テザーという定義に基づいた米ドル連動のデジタル通貨として、2014年末にテザー財団が立ち上げた通貨です。
コインメトリックスのグラフでは、2017年からの1年間はほとんど流通がなく、ビットコインの上昇とともに、テザー(USDT)の取引量も比例するようになりました。2017年1月に10Mを少し下回っていた供給量ですが、2018年1月、ビットコインの価格が2万ドル近くのピークに達したとき、テザーの供給量は1.4B以上に増加しています。2020年7月の時点では、ほかのステーブルコインと同様にテザーも10B以上の供給量に拡大していることがわかります。
参照:Bitstamp
日銀、「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」
「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」の設置について https://t.co/r8VFGi0s84
— 日本銀行 (@Bank_of_Japan_j) March 26, 2021
今年3月26日、昨年10月に「中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する取り組み方針」を公表したことによる概念実証の開始予定を発表しました。この声明の中でも、中央銀行のデジタル通貨を発行する計画はないものの、決済システムの安全性と効率性を確保する観点から、フェーズ1となる実証実験に取り組みたいとしています。
日銀黒田総裁、「今年の春から実験開始」強調
3月16日から3日間のスケジュールで開催されたフィンテックサミット「FIN/SUMフィンサム」にビデオメッセージで出演した黒田総裁は、中央銀行のデジタル通貨について次のように述べています。中央銀行デジタル通貨(CDBC)が必要になった時点で検討するというのは適切ではなく、デジタル化社会のなかで「セントラルバンキング・アズ・ア・サービス」のテーマなぞらい検討していきたい。また中央銀行デジタル通貨の内容冒頭で、実証実験の準備を進めてきており、実際にこの春より実験開始をする予定であると強調しました。