日本酒の偽造品流通防止を促進するシステム「SAKEブロックチェーン」近々実装へ

世界最大の会計事務企業アーンスト・アンド・ヤング(EY)の日本支社EY Japanは、ブロックチェーン技術を投入した追跡システムで日本酒の偽造品などの差別化を図る「SAKEブロックチェーン」開発を発表しました。コロナウイルスの影響によるビジネス混乱が安定すれば、システム提供を開始すると伝えられています。3月21日、Nikei Asian Reviewが報道しました。

日本酒の輸出量は増加の一途!

日本酒は国内消費が低迷する中、海外への輸出量は年々増加の一途をたどっています。財務省の統計によると日本酒の輸出総額は10年連続で記録を更新中で、2019年の総額は234億円を突破しました。国別では、総額、数量ともにアメリカが1位で、次に中国が続いています。10年前と比較すると中国の伸び率は2100%で、香港、韓国、台湾などのアジア圏を含むと全体の50%がこの地域に輸出されているといいます。

「SAKEブロックチェーン」で日本酒の追跡!

日経アジアレビューのレポートによると、日本酒の消費者、生産者ともにこのシステムを利用して詳しい情報を得ることができるようになります。消費者は日本酒ボトルのQRコードをスキャンし、酒造のプロフィールや原産地、成分などに加え、この酒と相性のよい料理の紹介も参考にすることができます。生産者側は、配送状況や最終購入者に至るまで、追跡することが可能になります。サービスは、日本語以外にも韓国語、中国語、英語に対応されており、輸出品についても同じ情報を共有可能。輸送中の温度設定やレストランや販売ショップでの適切な酒の貯蔵温度なども知ることができるため、商品の品質管理にも役立つと考えられています。今後は、日本酒だけでなく、果物流通に関しても同様のシステムを導入する計画があるようです。

EYのワインブロックチェーンプラットフォーム「TATTOO」

EYは、2019年にワインの流通システム提案としてブロックチェーンを活用した「TATTOO」を開発しています。今回のSAKEブロックチェーンと同様に、生産者や原産地、成分などの情報を知ることができます。また偽造品などとの差別化を図るために「TATTOO」の認証を受けた生産者のみマーケットプレイスでの販売が許可されています。このシステムはEYが独自に提供しているEY OpsChainでサポートされており、トレーサビリティや信頼性に優れた構造です。

電通と宮崎県のコラボでワイン流通へブロックチェーン技術を

2016年より大手広告代理店の電通国際情報サービスと宮崎県綾町が共同で、ワイン流通サポートや農業分野へのブロックチェーンの導入を目指し、研究開発が続けられてきました。2019年には綾町のワイン生産者が、ブロックチェーン技術を導入した流通システムを利用してフランスで「エシカル(倫理的)消費」の調査を実施しています。2020年1月には、農産品の流通状況が把握に貢献するスマート農業データ流通基盤「SMAGt」を開発しました。

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