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仮想通貨におけるロックアップとは?

仮想通貨に「ロックアップ」システムがあります。もともと株式市場で用いられていた用語です。仮想通貨の過剰な流れを抑え、価格の大暴落を防ぎます。どのようなシステムでしょうか?具体的に見ていきます。

ロックアップとは?

ロックアップ画像1

仮想通貨の運営元や発行元が、一定の期間、仮想通貨を売りに出さないで「凍結」することです。「ロックアップ」という言葉は、もともと株式市場で使われていました。

株式市場の場合

株式市場では、IPO(新規公開株式/Initial Public Offering)と呼ばれる、企業が初めて証券取引所に株式を公開する仕組みがあります。その公開の際、株が大量に出回らないように一時的に規制するシステムが株式市場のロックアップです。上場直後のまだ流通量が少ない時期に一気に大量の株を売却すると、その株は値下がりし、株主たちの不安要素になってしまいます。その結果、株が大暴落してしまいます。公開前から株式を多く保有している株主が持ち株を一定の間、売却できないように操作すれば、暴落は防げます。株価暴落の事前防御システムともいえます。

仮想通貨の場合

仮想通貨の過剰な放出と価格の下落を防ぐため

仮想通貨でも同様な仕組みがあります。ICO(新規仮想通貨公開/Initial Coin Offering)です。ICOは企業がプロジェクトを実施するために、仮想通貨やトークンを使用して行う資金調達のことです。事業をスタートさせるのに必要なお金を集めることを目的としています。このICOが行われた直後に、かりに保有者達(主に企業)が仮想通貨を大量に売りに出せば、需要と供給のバランスが崩れ、その通貨の価格は一気に下がります。それを防ぐために実施されるのが仮想通貨のロックアップです。企業は仮想通貨が発行されるとなればユーザーにロックアップを約束します。

ICOへの参加を促すため

また、安心を持ってICOに参加してもらうために、ロックアップするケースもあります。仮想通貨やトークンの発行元がその対象通貨の保有者である場合がほとんどです。そういった状況の中でトークンセールが終わると、企業がトークンを大量に売りに出し、その結果、暴落になる可能性があります。それを不安に思うユーザーが出てこないようにロックアップを行うのです。

違う点としては、仮想通貨のICOは『誰でも参加できる』のに対し、株式市場のIPOは『証券会社に申し込んで、抽選で当選しないと参加できません』。

ロックアップする理由

  • 投資家たちの懸念である仮想通貨の価格暴落を防ぐため
  • 対象となる仮想通貨の流動性を高めるため

ロックアップの結果

  • 需要と供給のバランスを調整することができる
  • 結果的に価格を高められる可能性が向上する

ビットコイン(BTC)はロックアップしない

ビットコイン画像

仮想通貨の代表格といえるビットコインはロックアップをしません。なぜならばビットコインは非中央集権型のシステムであるブロックチェーンで構築された「分散型通貨」だからです。市場に出回る通貨量もマイニングによって決められています。つまり、運営母体となる中央組織が存在しないのです。

ロックアップと似た働きをもつ仕組み

バーン(Burn/消滅)

ロックアップと似たような作用をもつシステムに、「バーン」があります。仮想通貨の一部を永久に使えないのように消滅させてしまうことです。コンセンサスアルゴリズムの1つにPoB(プルーフ・オブ・バーン)があり、対象の仮想通貨をバーンする(燃やす)ことで通貨を使えなくします。だた、こちらは『永久に』使えなくなるのに対し、ロックアップは『一時的』なもので、期間が終了すると、ロックは解消されます。

実際にロックアップを行なった仮想通貨

リップル(Ripple/XRP)

リップル

ロックアップをした仮想通貨の中で有名なのが、リップルです。リップルはマイニングや半減期がありません。常に全通貨が市場に出回っている状況です。なぜならば、リップルは1つの運営母体のいるシステムで構築された仮想通貨だからです(ここら辺がビットコインとは違いますね)。ですので、市場に出回る時は、ドルや円などの基軸通貨のように通貨量の調整があります。もし、このリップルを一気に売りに出してしまった場合、市場は混乱し、価格は暴落してしまう可能性が高くなります。それを懸念して、2017年12月8日、リップル社は保有している630億XRPのうち、559億XRPをロックアップしました。

この時、リップルの価格は8倍まで膨れ上がりました。その点から見ても注目度の高いロックアップだったと思われます。

ロックアップされたリップルはエクスロー※1 で保管されています。エクスローは暗号理論的な機能があり、安全でセキュリティも高く、リップル社であっても自由に操作することができません。
※1 法に基づいて設立された信頼性のある第三者機関こと。

ロックアップされたリップルは毎月1日に10億XRPずつ解除され、予定通りにいけば、約4年半後の2022年に解除が終了します。かりに10億XRP全てを解除できなかった場合、翌4年半の間、再びロックアップされる予定です。

また解除されたリップルは機関投資家向けマーケットメーカーに配布されることが決まっているので、解除された10億XRPが、毎月市場に売却されることはありません。

トロン(TRON/TRX)

トロン

トロンは2017年9月に初めてICOが実施された仮想通貨です。音楽ストリーミングサイトの「Peiwo 」のCEOであるジャスティン・サン氏が開発し、シンガポールの「トロン財団」が作りました。映画や音楽、ゲームなどエンターテイメントを気軽に楽しめるプラットフォームを構築することを目的としています。トロンは2017年12月~2020年1月まで約332億TRXをロックアップすると発表しました。

また、2018年の6月25日に10億TRX(当時の価格の約55億円)、同年の11月1日には、約902億円の仮想通貨をバーンしたと発表しました。

このロックアップとバーンで枚数が減少したトロンは、希少価値のある通貨として高値が期待されています。

NANJCOIN/NANJコイン

NANJCOIN:NANJコイン

スポーツに特化した仮想通貨です。日本国内で開発され、掲示板2ちゃんねるの「なんでも実況J版」から誕生しました。野球球団を応援し、チケットやシートの確保、そして選手への寄付なども行なっています。2019年5月までに、発行枚数300億NANJIのうち、15%の45億NANJIをロックアップしました。エアドロップをしたこともあり、他のトークンと提携するなど活動的な仮想通貨の1つとなっています。

まとめ

ロックアップ画像3

バーンは対象とした通貨の価値を上げることを目的とした『永久の消滅』なのに対し、ロックアップは、投資家の不安を払拭することを目的とした『一時的な凍結』です。また、ロックアップは、市場に影響を及ぼすことがないように、事前にスケジュールや詳細を告知する必要があります。どの通貨がロックアップするのか前もってわかれば、投資先の検討も立てられます。

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