
仮想通貨のバーン(Burn)とは?
英語の”Burn“は、「燃やす」「燃える」の意味ですが、仮想通貨業界では、運営元や発行元が仮想通貨の一部を永久に使えないように消滅させてしまうことです。この「消滅」を「燃やす」になぞらえて表現したのが「バーン」です。
それでは、なぜせっかく誕生させた通貨を「消滅」させてしまうのでしょうか?
バーンする理由
バーンする理由は主に以下の2点があります。
- バーンをした仮想通貨の価値を上げて、残りの通貨に多くの資金が流れるようにするため
- バーンをした仮想通貨と同価値を持つ別の新通貨を発行するため
バーンをした仮想通貨の価値を上げて、残りの通貨に多くの資金が流れるようにするため
仮想通貨は需要と供給のバランスで価値が決まります。対象の仮想通貨をバーンし、市場に流れる仮想通貨の量を減らします。そうすることで残った通貨の価値が上がり、投資家たちに還元できるように設定しているのです。
ただ、対象となる仮想通貨は、開発者や運営者が保有しているケースが多いです。一部の人にだけの利益になる傾向がないとも言えません。また、希少価値が上がったからといって、必ず通貨の価格も上がるとは限りません。株と同じように、仮想通貨の価格も相場があるからです。
バーンの実例
以下は実際にバーンをした例です。
バイナンス(Binance/BNB)
バイナンスは2017年7月に設立された世界一の取引高と登録者数を持つ仮想通貨取引所です。ERC20トークンのバイナンスコイン(BNB)を発行しています。バイナンスコインはその名の通り、バイナンス取引所トークンなので、バイナンスの取引で利用する際は手数料が安くすみます。バイナンスコインの発行上限数は2億BNBですが、その半分の1億BNBを四半期ごとに減らしています。これで得た利益を投資家に還元してバイナンスコインの増加とインフレを防いでいます。※2019年7月11日、第8回目となるバイナンスコインのバーンをしたことを発表しました。
アリス(ALIS)
アリスはブロックチェーンを取り入れた日本初のソーシャルメディアプラットフォームです。2017年9月に実施したICOで約4.2億円の資金を調達し、同年の11月、売れ残ったトークンを全てバーンしました。
トロン(TRX)
発行元のトロン財団は、2018年6月、メインネット※移行を記念して、約10億分のTRXをバーンすることを発表しました。
テザー(Tether/USDT)
ステーブルコインで有名なテザーがバーンしています。2018年10月と、2019年7月です。
バーンをした仮想通貨と同価値を持つ別の新通貨を発行するため
PoB (プルーフ・オブ・バーン/Proof of Burn)
仮想通貨のコンセンサスアルゴリズム※1にPoBがあります。直訳すると「燃やした証明」です。PoW(プルーフ・オブ・ワーク)やPoS(プルーフ・オブ・ステーク)、PoI(プルーフ・オブ・インポータンス)など、PoC(プルーフ・オブ・コンセンサス)、DPoS(デリゲート・プルーフ・オブ・ステーク)など、数種類あるうちの1つがPoBです。ほかのアルゴリズムが、「コインベース※2」と呼ばれる特殊なインプット機能を使って通貨を発行しているのに対し、PoBは誰も秘密鍵を知らないアドレスに通貨を送金し、使えなくすることで空きをつくり、『同量』の別の新通貨が発行される仕組みです。ビットコイン(BTC)を発行するマイニングとは逆の手順ということになります。
※1ブロックチェーン上の取引取引をチェックするシステムで、またを「合意形成アルゴリズム」という
※2 マイナーが新しいブロックを生成し、報酬として仮想通貨を得る取引のこと
PoBを実装した仮想通貨
カウンターパーティー(Counterparty/XCP)
PoBを最初に実装した代表的な仮想通貨は、カウンターパーティーです。誰もわからない秘密鍵のあるアドレスにビットコインを送金する(=バーンする)と、その引き換えに同等のXCPをもらうことができるようにしました。2014年1月、約2000BTCのビットコインがバーンされ、約265万XCPのカウンターパーティーが参加者全員に『平等』に配布されました。この『平等』がPoWやPoSにはない点です。つまり、透明性や公平性があり、かりに運営者だとしても投資家たちと同等の条件で通貨が配布されることを表しています。
モナパーティー(Monaparty/XMP)
人気の国産仮想通貨モナコイン(Monacoin/MONA)から派生したトークンです。モナコインのブロックチェーンを採用しています。決済速度が速く、安価な手数料が特徴です。
バーンの主な手順
バーンは以下の手順で行われます。
- 誰にも管理できないパブリックアドレスに対象の仮想通貨を送金します
- アドレスの秘密鍵(シークレットキー)を誰にもわからない状態にします(これで誰も仮想通貨を取り出せない状況になります)
- 送金した仮想通貨は消滅(バーン)したことになります
- ブロックチェーンにバーンした取引を記録します
- ユーザーから預かった金額に応じて新しい仮想通貨を発行します
バーン詐欺に注意!
バーンの特徴を悪用した詐欺もあります。「バーンがあるよ」とでたらめの情報を流す詐欺行為です。実際には行われないバーンを告知し、ターゲットの通貨の価格が上昇したところで、その通貨をすべて売却するのです。実際に価格が上昇したとしても、その通貨は最高潮の価格まで戻ることはなく、収益にはつながらないケースがほとんどです。
タイミングがあえば、儲かる可能性もなくはないですが、リスクの高い賭けになります。「バーン」の情報元(公式サイトやホワイトペーパーetc)をしっかりと調べた上で、バーンに参加しましょう。
まとめ
仮想通貨のバーンは、対象とした通貨の価値を上げることを目的とした計画的な、『消滅』です。消滅したことがブロックチェーン上に記録され、誰でも確認することができるので、公正で平等な仮想通貨インフラの調整システムといえるでしょう。