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「くりぷ豚」で有名なグッドラックスリー代表取締役社長の「井上和久氏」インタビュー

Dappsゲームの「くりぷ豚」で有名な、「株式会社グッドラックスリー」の代表取締役である「井上和久社長」に、会社を立ち上げる以前からのお話も含め、インタビューをさせていただきました。

Crypto Scene(以下CS)まずは、子供の頃のお話から、お聞きしたいんですけど。

井上社長(以下井上)今につながる話で言うと、ゲームと漫画とテレビが好きでした。

CS)ゲームで言うと「ドラクエ」とかでしょうか?

井上)はい。オーソドックスなゲームが好きで、あまりマニアックなゲームはやりませんでした。広く浅くな感じで、いわゆるオタクではなかったですね。

福岡の中洲生まれの中州育ちで、周りにあまり公園もなかったので、家の中で遊ぶことがほとんどでした。

CS)久留米大学附設高校から東京大学へ進まれ、東京での生活が始まるのだと思うのですが、このころ将来の展望などは、そのように考えていましたか?

井上) 実家が商売(宝石店)をやってまして、ただ僕は次男坊なので、何かをやらないといけないというのは無かったんです。ただ、バブルの崩壊もあり商売も結構厳しくなっていて、早くひとり立ちをしたいっていう気持ちがあったので、大学1年生の時から、インターネットビジネスを始めてました。

学生の頃からビジネスをスタート

CS)どのようなビジネスを始めたんですか?

井上)2000年の8月頃で19歳の時にホームページの制作会社で働き始めました。

CS)1995年にWindows95が出て、インターネットが普及し始めたころですね。

井上)ええ。私はやっぱりインターネットだったりデジタルコンテンツが好きだとおもうんですよ。
だから、好きなことで人に喜んでもらえる事をやりたいっていうのが、原体験として大きいのかなと思います。

CS)大学卒業後は、株式会社ドリームインキュベータに就職されると思うんですが、コンサルの仕事をされていたんですか?

井上)ドリームインキュベータは、経営コンサルとベンチャーインキュベーションの仕事がありました。
学生時代に、散々新しいビジネスを仕掛けていったんですけど、軽く商品化したものなんかも、そこそこ売れたりはするんですが、大ヒットと言うのは無くて、結構難しいなと思ってました。
そんな時に「未来のソニー・ホンダを100社育てよう」という、大きなビジョンで立ち上がった会社がドリームインキュベータで、作り方を知りたいし、一緒にやれるんならやってみたいと思って入りました。

自分の力だけでイケる限界のようなものを、学生時代に感じて、そういう部分のプロフェッショナル集団があるんだったら、その中の一員として切磋琢磨して、達成できることもあると思ったのがきっかけですね。

ブロードバンドコンテンツの作成

CS)会社に入る前に、いくつか商品化ってお話がありましたが、何か具体的にお聞かせいただけるものはありますか?

井上)今、思い出せることで言うと、ブロードバンドコンテンツの検索エンジンというのを作ってて、2001~2002年にブロードバンド化の波が日本にやって来て、コンテンツが出始めてきていて、それを検索できるようなものを作りましたが、今思い起こすと、あまりいいプロダクトではなかったと思いますが(笑)

他には、映像を見ながらEコマース出来る動画コマースみたいなものを作りました。

CS)その頃って、ちょうど孫さんがADSLのモデムを大量に配っていた頃ですか?

井上)ええ、そうですね。ただ、ちょっと時期が早すぎたかなと。その時のチームがまだ早すぎたし、チームも弱かったかなと。

タイミングでいえば、今のDAppsはそこまで早くはなかったと思います。DAppsは既にある程度マーケットがありますし、チームが強くなっているのは確かですから。

当時は早すぎるし弱いしみたいな二重苦でしたね(苦笑)

共通して言えるのは、新しいことをやるから、毎日がトライ&エラー、チャレンジの連続って感じですね。
答えがまだない状況で、前に進める気合が誰より強いって気がするのは、2000年から19年間一貫していると思います。

答えがまだ見えていないけど、これじゃないかって探り当てにいく事を続けて、いよいよ来年20年目に突入します。

仕事の多くは、こうやればいいって決まってることが多いと思うんですけど、こうやればいいって決まってる事って、自分の役割ではない気がしているので、やらないです。

CS)先ほど、トライ&エラーみたいなお話もありましたが、これだったんだ!見つけた!みたいな時は、やはりテンションが上がるというか、やっててよかったって思える時なんでしょうね。

井上)そうですね。調子がいいと、バンバンそういうのが連鎖するけど、少しトンネルに入ると、なかなか探り当てられないみたいな。

ただ、感覚値的に言うと、頑張ってたら、1カ月に1個か2個くらいは見つかる気がしてて、その1個か2個を見つけるために、日々コツコツとやってます。

研究者みたいな感じかなって思います。

CS)お話を伺っていると、学生時代からベンチャー魂をお持ちなんだなって思うんですが、会社(株式会社グッドラックスリー)を立ち上げるにあたって、何かのきっかけがあったんでしょうか?それとも、そろそろ機は熟したという事だったんでしょうか?

井上)会社を作ったのは、前の会社でチャレンジしていたプロジェクトが、不完全燃焼のまま終わってしまったので、自分でやってみようとアプローチをかえた事ですね。

しつこいんだと思うんですよ。

CS)自分ではまだ納得いっていないので、やり切りたいという思いで?

井上)まだやりようがあると思ってて・・・。一緒に仕事をしたことがある人から、そこまでよく粘りますねとかよく言われますね。

株式会社グッドラックスリーのスタート

CS)なるほど。それで、実際に会社を立ち上げられたわけですが、ホームページなんかを拝見すると、映像なんかもやられているようで、最初の事業は、何から始められたんですか?

井上)最初は、モバイルゲームからですね。

映像をやり始めたのは、「官兵衛の野望」というゲームを作ったんですけど、そのゲームの主題歌で「黒田節ロック」というのを作ったんです。

エンターテインメントという括りの中で、ゲームというのはひとつの表現手段だと思っていて、映像制作とか音楽にトライするクリエイターも入ってきて一緒にやったんです。
ただ、これがまた思った通りにはすぐにはいかなくて、一応、黒田節ロックは、賞(福岡ビジネスデジタルコンテンツ特別賞)は獲ったんですけど、ビジネスベースにはなかなか乗っていかないんですよ。

それで、色々トライして、音楽イベントをやったりもしたんですけど、ふとある時そのクリエイターが、10分のショートドラマみたいなものを作ってきて、それがなかなか出来がよかったので、じゃあこれを60分で作ってみてって言って出来たのが「人生のメソッド・明治一代女編」というもので、これが結構面白かったんですよ。

それを大賀薬局に持って行って提案して、「大賀薬局編」というのを作って、そこから企業ドラマシリーズというのがスタートしたんですけど、コンテンツとして面白くて、ビジネスの設計ができたら回る仕組みが出来るんですが、それが自分の仕事かなと思っています。

CS)井上さんとしての、立ち位置と言いますか、ご自分でアイデアを出されてやる場合もあるでしょうし、よそからのアイデアで動かれる場合もあると思うのですが、そのあたりはどうなんでしょうか。

井上)生みだすアプローチには、イケるって思ったら、誰が発案しようが、昼間の会議であろうが、夜の飲みの席であろうが、こだわりはないですね。

ただ、いざ作ってみて、ユーザーがついてくるかって話と、ビジネスベースに乗るかって話は、オペレーションに入った際の、PDCA(計画・実行・評価・改善)次第だと思っていて、そこが自分の役割なんです。

ユーザーへの視点

井上)面白いかどうかは割とシンプルで、数字でも結果が出ますし、単純に自分で見てみたいものって、一般のユーザーが感じることと、そんなにズレてなくて、それはたぶん自分があまりマニアックではないからだと思うんです。

だから、普通の人が思ってる事に気づいちゃうんですよ。

そして、後はそこと向き合うって事でしょうか。

「くりぷ豚」で、ゲームをどう進めればいいのかが分かりにくいという問題がありまして、それにはいろんな原因や経緯があるんですよ。

それに対して向き合うのが、僕の仕事だと思ってます。

ビジネスベースに乗るか

井上)次に、ビジネスが回る仕組みを作るというのは、いろいろオプションを出して、ひとつひとつ検証していく事なんですよ。

実際にやってることは、とても単純で感性と論理を両方使うことになるんですけど、アイデアを出したり状況を感じ取るのは完全に感性で、数字を見たり、オプションを整理して、優先順位を付けていくのは論理の話になると思うんです。

プロデューサーと言うと、なんだか大層な気がしますけど、ひとつひとつ見たら、すごく地味な事をやる仕事ですね。

日々コツコツやれる人に、向いてるんじゃないですかね。

CS)それでは、ゲームの方の話を伺いたいんですけど、累計400万ものダウンロード実績を誇る「ぐでたま」シリーズは、サンリオのキャラクターを使った、ゲームでした。一方、ブロックチェーンを使ったDAppsゲームの「くりぷ豚」は、キャラクター性にしてもゲーム性にしても完全なオリジナルになります。この辺りは、井上さんの頭の中からスタートしているんでしょうか?

井上)集合知(集団的知性。多数の人の意見や知識を集めて、より高度な知性を見出す事。)によって決まりましたね。今は集団開発の時代になっています。

なぜ(why)やるのかというのは、プロデューサーとか経営者の仕事だと思っていて、何(what)をというのは、whyに従って、意見を出し合って、whyに合ったwhatを選ぶのは、プロデューサーだったりディレクターだったり、その時々によるって感じでしょうか。

くりぷ豚

CS)くりぷ豚は先ごろ一周年となったわけですが、この一年間振り返ってみてどのような感想をお持ちでしょうか。

井上)アッと言う間ですね(笑)

ようやくチームになってきたかなって思いますね。

CS)初めの頃はそうでもなかったんでしょうか?

井上)一生懸命やってるんですけど、前例がない分野で様々な意見もあって、一つの目標に向かってとか、みんなの意識が同じ方向に向かっているとか、そこに至るまでに1年くらいかかったかなと思います。

CS)前回のミートアップで、参加者から出た意見などを、ミートアップの締めのお話で、採用するように決めましたってお話されているのを見て、とても柔軟性があるんだなって思ったんですけど、あぁいう場のノリだからこそっていうのもあるんでしょうか。

井上)そうですね。ブレークスルーには、やはりノリとテンポが重要だと思っています。

そして、本質的なことで言えば、日々の改善が一番重要だと考えています。

CS)前回のミートアップでお話と言いますか、紹介がありましたが、奥様のご実家の「上原ファーム」というのがあっての豚キャラなんでしょうか?

井上)そうですね。豚で極めていくっていうのが、一つの戦略かなって思ってます。

ゲームをよくする事と、豚を極めていく事の両方かなと。

ホリエモン

CS)話は変わりますが、「くりぷ豚」上で、最近ホリエモンとのコラボを実現され、1年ほど間に対談もされてますが、以前からお知り合いだったんですか?

井上)いえ、高校の先輩(8年先輩)ではあるんですが、1年前の対談の時が初めてで、そこからお付き合いが始まりました。

CS)その時お話されて、それまで思ってたホリエモン像と何か違いがありましたか?

井上)チャレンジに純粋な方だなって感じましたね。最近だとロケットが有名ですけど。

チャレンジに純粋な人が増えると、世の中もっと面白くなるんじゃないかなって思いますね。

「くりぷ豚」の今後

CS)なるほど。それでは、話を戻しまして、「くりぷ豚」に関しまして、今後の展開とかはどのようにお考えなのでしょうか?

井上)既存ユーザが気にしているだろう事からお話すると、くりぷトンがドンドン増えていく事のいい面は、お見合いは楽しいものだという事です。

半面、あまり増えすぎると、買い手がつかないという事にもつながるので、「コインク」に交換できる仕組みを入れました。

また、くりぷトンに血統のシステムを組み込む予定で、一定の活躍をしたら、還元されるようなことを考えています。

それから、新規ユーザ向けでいえば、クエストという物を組み込む予定で、どうゲームを進めればいいのかわからないという問題を解決したいと思います。

他には、新しい NFT(NonFungibleToken)が入ります。

採集場のようなところで、アイテムなどを拾ってこれるようなものですね。

この辺りのものが全て実装されれば、ひと通りのエコシステムができる予定です。

CS)ゲームって、開発するうえで、最後の調整っていうのが、とても大事なものになると思うんですが、「くりぷ豚」の場合、調整で苦労した事って何かありますか?

井上)そうですね、最初に組んだゲームデザインが、きちっとハマればいいんですけど、 UX(UserExperience ・ユーザーの体験・経験)的に違ったなって時に、当然変えていかなきゃいけません。ただ、現在の仕様と整合性を取りながら変えていく必要があって、やればできるんですけど、やはりかなりの手間暇がかかります。

長い間やってると、だんだん感覚が分からなくなるので、ユーザーの意見を一つ一つ聞きながら、ユーザー感覚を持ち続けるのが、非常に重要だなって思います。

Dappsゲームの今後

CS)Dappsゲーム全般に関してなんですが、一般のスマホゲームや、TVゲーム機に比べると、先にETHを用意しなきゃいけないとか、非常に敷居が高いと思うんですけど、この辺りの事は、業界全体としてどういう方向に持っていくんでしょうか?

井上)決済手段を増やす方向はあるんだと思います。

当初はブロックチェーンネイティブで作っていた部分があるんですけど、一般のスマホゲームに Dapps が付いているって発想にどんどん近づいていて、UI/UX 的には一般のスマホゲームを目指しているのは確かです。

ただ、いろんな制約があったから現状のような形になっているんですけど、それに対して解決策が次第に出てきているので、制約がなくなってきているのは事実です。

CS)現状の敷居が低くなることで、参入できるユーザーがケタ違いに増えてきますよね。

井上)そこは、無料で遊べるようにしたり、遊ぶことを迷わないようにしたりとか、そいう事を日々コツコツとやっていくってことなんだと思います。

CS)なるほど。それでは、今日は大変お忙しい中お時間を頂き、ありがとうございました。

井上)こちらこそありがとうございました。

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