
ETFとは?仮想通貨との関連は?
ETFは金融市場に上場されている投資信託です。市場の値動きに合わせて、リアルタイムに自由に取引ができます。リスクの少ない分散投資も可能です。そのETFが仮想通貨での上場を申請しています。ですが、なかなか認められていません。
ETFとは?仮想通貨ETF上場をゆさぶる問題とは?現状に迫ります。
最初に、「ETFとはなんぞや?」を知っておく必要があります。ETFの大まかな特色、種類、メリット、デメリットを紹介します。
ETFの特色
ETF
Exchange Traded Fundの略で、「上場投資信託」と呼ばれます。日本銀行(日銀)がデフレ脱却を目指し、2013年4月にスタートした金融緩和のひとつです。
「投資信託」はテーマに沿ったいくつかの銘柄を組み合わせた金融商品で、販売会社が投資家から集めた資金を運営会社が運用します。そして、その「投資信託」を上場させたのがETF(上場投資信託)です。
以下はETFと投資信託を見比べた表です。上場と非上場とでは若干の取引ルールの違いがあります。
・ETF(上場) の場合…
取引価格 市場価格(時価)
取引時間 証券取引所が開いている時間
購入場所 証券会社
購入方法 リアルタイムな時価で取引可能
最低投資額 2万円以下が主流
信用取引 可
・投資信託(非上場)の場合…
取引価格 基準価値(一口あたりの純資産価値)
取引時間 販売会社によって違う
購入場所 証券会社、銀行、郵便局
購入方法 基準価値が分からない状態での購入や換金
最低投資額 500円~1万円前後
信用取引 不可
ETFはこの「株式投資(上場)」と「投資信託(非上場)」の両方の特徴を持っていて、リアルタイムな売買と少額の投資資金で本格的な分散投資ができる仕組みになっています。
ETFの種類
日経株価指数やTOPIXの他にもさまざまなETFがあります。東京証券取引所には200銘柄以上のETFが上場しています。
- 不動産投資信託(REIT)…東証REIT、米国REIT、豪州REITなど
- 先物(コモディティ)…金、銀、プラチナ、原油、穀物など
- ブル型(レバレッジ型)…ETFは2倍の動きをする。下がった局面でその後の値上がり期待で買う人が多い
- ベア型(インバース型)…ETFは市場の動きと逆方向の値動きをする。日経平均が下がっている場合→ベア型ETFは上がる。日経平均が上がっている場合→ベア型ETFは下がる
ETFのメリット
- 自由に売買ができる
- 値動きがわかりやすい
- 購入時手数料や保有期間中の手数料が安い
- 少額の分散投資が可能
たくさんの種類があるETFは日経平均株価やTOPIXなどの株価指数※1などに連動するようになっていて、1本のETFを買うだけで、その基準となる指数を構成する銘柄すべてに自動的に分散投資しているシステムといえます。
※1 対象国、対象銘柄全体の動きを読み取ることができる指数のこと
ETFのデメリット
- 上場廃止や繰上返済の恐れがある
- 取引する際は価格乖離(かいり)を考慮する必要がある
- 手数料が必要になる
仮想通貨にみるETF
引用元:こよりと学ぶ仮想通貨
仮想通貨のETF=仮想通貨の上場であり、仮想通貨を「金融商品」として認めらえることを意味しています。仮想通貨のETFが認められれば、以下のようなメリットがあります。
・仮想通貨に対するハッキングや詐欺などの悪いイメージを払拭される
・機関投資家が参入し、資産流入など仮想通貨市場が活気づく
・仮想通貨にマイナスイメージを持つ個人トレーダーにとっても参入意欲が高まる
・信用取引ができる
・ETFは雑所得に入らないので、税金対策にもなる
次は仮想通貨のETFこれまでの経緯を見ていきます。
ビットコインETFの経緯
引用元:Next Money
仮想通貨のETF、つまり、ビットコインETFのことです。ビットコイン(BTC)を投資対象とする金融商品のうち、証券取引所に上場されている「投資信託」のことです。ビットコインETFの上場申請はこれまでに、アメリカの証券取引委員会(SEC※2)によって度々、却下されています。2019年6月現在、まだビットコインETFの申請は1つも承認がなされていません。その理由として、ビットコインはまだ黎明期であり、値動きが著しく安全な資産管理が難しいのではとみなされているからです。
※2 Securities and Exchange Commissionの略で、投資家を保護するための米国連邦政府機関のこと。
2017年3月
ウィンクルボス兄弟(Winklevoss)がビットコインETFの申請を提出しますが、却下されます。ウィンクルボス兄弟は、米大手仮想通貨取引所「Gemini」の創設者であり運営者です。FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグとはハーバード大学の旧友であり、訴訟をおこしたことはすでに有名な話です。
引用元:コインテレグラフ
2017年12月
米国の最大規模株式オプションのシカゴ・オプション取引所(CBOE)にビットコインの先物取引が上場します。これによりビットコインETF上場の可能性に期待がかかりました。
2018年1月
SECがビットコインへの懸念をいくつか発表します。これを受けて、申請していた4つのファンドが、自らビットコインETFの申請取り消しをします。
2018年3月
CBOEやウィンクルボス兄弟を筆頭に、他の複数のファンドもビットコインETFの承認を申請します。
2018年6月
ETFの承認を簡易にする提案が提出されます。
2018年8月
SECが9つのファンドのETF申請を拒否します。その後、SEC上級幹部が再審査を実施すると発表し、2019年2月まで審査が延長されます。
2018年8月
SECのビットコインETF再審査開始の発表が行われます。
2018年10月
SolidX版、VanEck版のビットコインETF申請に対する判断が2019年2月まで延期されます。
2019年1月
日本の金融庁がビットコインETF承認の噂を否定します。
2019年2月
米政府閉鎖の影響を受けて、SolidX版、VanEck版のビットコインETFは申請を取り下げます。
2019年3月
SECが米仮想通貨資産マネジメントのビットワイズ(Bitwaise)が1月に申請した、ビットコインETFの最終判断の延期を発表します。
2019年5月
VanEck版のビットコインETF判断の延期を発表します。次の期限は8月19日、最終判断は10月です。
ビットコインETFを取り巻くインフルエンサー
引用元:Crypto Times
ジェイ・クレイトン(Jay Clayton)氏
ビットコインETFの問題に大きな影響を持っているSECの会長クレイトン氏。ビットコインETFが承認されるには以下の点が必要であると言及しています。
- 取引所における操作的活動の監視
- 価格操作への対応
- 詐欺やハッキング被害を受けた際の投資家への保護
- 安全なカストディ(資産管理)
へスター・パース(Hester Peirce)氏
『クリプトママ』ことSECのコミッショナー、パース氏は、あくまでも個人的な意見であることを強調しつつ、「時間はかかるかもしれないが、仮想通貨をベースにした商品の登場の可能性は大いにある」と明言しています。彼女は、2018年7月に、SECがウィンクルボス兄弟の申請を拒否した際に、SECの中で異議を唱えていた人物です。
ロバート・J・ジャクソン・ジュニア(Robert J. Jackson Jr)氏
ジャクソン氏は、2019年2月6日、米のニュースサイトのロールコールのインタビューで、「ビットコインETFが承認されるのは時間の問題」と言及しています。
まとめ
引用元:QuickESG研究所
株式投資と投資信託の特徴をもつETFは、投資信託よりも一般の人が自由に売買、分散投資ができる、利便性の高い金融商品です。アメリカでは、その特徴を活かして運用ができるように、ビットコインETF上場の承認が今か今かと待たれています。ビットコインETFが認められれば、機関投資家や、個人投資家が参入し、仮想通貨市場が活気づくことが予想されています。