
仮想通貨で高利回りを謳うHYIP(ハイプ)とは?
HYIPとは?
「High Yield Investment Program」の頭文字をとり、読み方は「ハイプ」です。少ない資金で高配当を得られことができる「高利回り投資案件」のことです。あるいは「高収益投資プログラム」ともいいます。銀行が年利1%を下回っている中、HYIPでは、月利40%、日利1~7%といった、高い利息を謳っています。
HYIPの高利回り
利息日利1%の場合…
投資額100万だとすると、1日につき1万円の配当金が出る計算になります。200万だと2万円、そして30日間後は、合計30万、60万円になるという結果です。とても高い利子です。
これまでもHYIPは株、債券、為替などへの投資案件で存在しましたが、仮想通貨の人気に牽引されるかのように、日本で一気に名前が浮上しました。なぜ、仮想通貨の知名度とともに広まっていったのでしょうか?
HYIPが仮想通貨と相性がいい理由
- 仮想通貨は一般的な金融機関の仲介なく、世界中、同じ基準で使用することができるため
- HYIPの投資にはビットコインを利用する場合が多く、全世界共通して決済でき、24時間どこでも使えるビットコインのウォレットが充実しているため
- 2017年末から2018年初めにかけて発生した仮想通貨価格の急激な上昇で「億り人」が誕生したことにより、『仮想通貨の将来性』を期待する投資家が増加したため
まだ正式なルールが確立されていない仮想通貨はHYIPが介入しやすい通貨といえるのかもしれません。
HYIPの種類
HYIPは3つに分けられます。合法のものと違法のものがあります。
MLM(Multi-level marketing/マルチ・レベル・マーケティング)
『マルチ商法』あるいは、『ネットワークビジネス』とよばれるものです。MLMに参加した出資者が、今度は営業マンになって、次の新しい参加者を探します。その新しい参加者を紹介すれば、報酬が得られる仕組みになっています。つまり、お友達紹介で「紹介料」をもらうピラミッドのような構造になっています。日本では、こういった『勧誘システム』はあまりいいイメージがありませんが、販売活動の一環として法律的に認められています。
引用元:ビジネス心理学
ねずみ講
MLMと似ていますが、こちらは違法とされています。MLMが新しい参加者を紹介したことで報酬がもらえるのに対し、ねずみ講は、会社(運営元)を創設したメンバーと最初に参加したメンバーには報酬がありますが、後から参加した人の報酬は少なくなる仕組みになっています。つまり、後から参加した下の階層の参加者が損をするシステムなのです。それに加え投資金を事業の運営費として使われることはありません。
そして、しだいに参加者が途絶え、仕組みは破綻します。れっきとした「違法」です。
ポンジスキーム
「高利回りの資産運用」をうたっておきながら、実際は出資者のお金を運用しない悪徳商法のことです。“自転車操業”のような仕組みといっていいでしょう。「資産運用」は表向きだけで、後から参加した出資者のお金を、前の参加者に“配当金”としてそのままスライド式に渡し、表面上は「高配当」であると見せかける違法な「詐欺行為」です。
ねずみ講もポンジスキームも話を持ちかける時は、「高い利益が得られる資産運用システム」と称し、出資しようか考えあぐねている人たちを扇動し、入会させます。ですが、入会者が増えるにつれ配当金はなくなり、最終的は運営側が出資金を持って「とんずら」します。これを“飛ぶ”といいます。
HYIPによる実際の被害例
Right Rise(ライトライズ)
イギリス政府の公認と偽って、「月利40%」をキャッチフレーズに投資者から資金を集めていた会社です。日本ではロンドンブーツの田村淳さんの画像を無許可で使用していて、田村さんご本人もツイッターで迷惑千万といったコメントをアップしていました。
ロンドンブーツ田村淳さんのツイッター↓
⚠︎気をつけて
RightRiseという会社に
投資も出資もしていません写真を許可なく広告塔として使うのは許せない
若手ベンチャー企業に
出資をする事はありますが…
胡散臭い会社には
投資も出資も話もしたくない※僕の写ってる写真は番組でビットコインを買った時のものです pic.twitter.com/SDkdkKYxgO
— 田村淳 (@atsushilonboo) January 12, 2017
Right Riseは当時、『最良投資先』として話題になり、多くの資金を集めていました。といいますのも、その仕組みは、「高速道路の速度感知センサーを開発し、このセンサーで捕まった違反者の罰金4割を、配当金として分配される」といった高利益な内容でした。一見、みると、ありそうにもない配当金ですが、事実上、出資者たちは日単位で利息を回収することができたので、「安心感」をもって対応していました。
ですが、サービス開始から約4ヶ月後の2017年3月5日、出資金1億ドル以上を抱えて飛んでしまいました。
USI-TECH(ユーエスアイ・テック)
ドバイを拠点にビジネスを行なっている企業です。「50ユーロのビットコインを1パッケージ購入すると、日利1%の配当を140日間受けられる」としています。出資者からの資金をFXや仮想通貨のマイニングをすることで運用し、利益を出すとなっていました。また、合法なMLM方式を採用していたので、信頼していた利用者もいました。
現在の出資金は仮想通貨TechCoinとして会社が預かっている状態になっています。自分のTechCoin保有料を確認することもできます。ですが、TechCoinを取り扱っている取引所がないので、別のコインに変えたり、現金にすることはできません。
会社側はアップデート中としていますが、実情は明らかになっていません。いつ”飛ん”でもおかしくはない状況になっていることは明らかでしょう。
BitClub Network(ビットクラブネットワーク)
ビットコインのマイニングによって資金を運用していましたが、2018年10月、ビットコインの価格が下落して以来、赤字回避のためマイニングを中断し、配当金の支払いがストップしてしまいました。まだ会社は存続していますが、このまま配当はなく、倒産する可能性もあるとされています。
まとめ HYIPはリスクの高い投資案件
HYIPは法律的に問題はないですが、非常にハイリスクな投資案件です。9割以上の運営側が“飛んでいく”のが現状です。どうしても試してみたいなら、
- 出資しようと考えている会社や運営側に関する新しい情報をできるだけ得る
- 複数の会社に分散させてお金を預ける
- 万が一なくなってしまっても困らない余剰資金を投資する
- 預けたお金が紛失するリスクを覚悟しておく
そして、もちかけられたHYIPがポンジスキームやねずみ講といった「詐欺案件」に該当していないかどうかなどを自分の目と耳で判断するセンスを持つことが重要です。