
DAppsって何?分かりやすく概要・実用性や将来性について徹底解説
DAppsとは
仮想通貨に投資を行っていたり、ブロックチェーンに関する技術を勉強したりしていると、一度は「DApps」という文言を聞いた事がある方も少なくないはずです。
ただ、詳しく「どんなものなのか?」「どんな可能性を秘めているのか?」という点をいまいち掴めていない方も、同じように多いはずです。
なので、この記事では出来るだけ分かりやすく「DApps」について
- 概要・特徴
- メリット・デメリット
- 実用例
- 将来性
という観点から、解説していきたいと思います。まず、はじめに「DAppsって何?」という点から、押さえていきましょう。
DAppsってこんなもの
DAppsとは「Decentralized Applications」の事です。Decentralizedは「分散的な」という意味で、「Applications」は「アプリ」という意味です。
日本では「非中央集権的な分散型アプリケーション」と解釈されるのが一般的です。
英語や横文字が多すぎて理解しにくい所はありますが、簡単にまとめるとDAppsは以下のような特徴があるものを指しています。
- 非中央集権的ではない(権力を持った管理者が居ない)
- 管理者が居ない状態で管理が可能
- データの管理に透明性がある
かなり簡潔まとめてしまいましたが、ブロックチェーンの持っている利点を活用した分散型アプリケーションの総称だと理解して頂けると幸いです。
また、DAppsは殆どの場合イーサリアムのプラットフォームを利用して作られています。
イーサリアムと言うと、仮想通貨の時価総額上位に存在しているコインぐらいの認識の方もいるかもしれませんが、実は本来イーサリアムはこれが目的で開発されました。
というのも、イーサリアムは「分散型アプリケーションを作るためのプラットフォーム」として開発されたのです。
DAppsの定義
先程、DAppsの全容を掴んで頂くためにかなり抽象的な解説をしましたが、DAppsには定義が存在しています。
DAppsの定義では4つの条件が存在しており、以下のようなものになっています。
- オープンソースであること
- データ等の管理がブロックチェーンで行われている事
- トークンの利用
- トークンの生成が暗号アルゴリズムによって行われる事
定義1 オープンソースであること
まず、DAppsの定義にはオープンソースである事が条件になっています。
オープンソースとは、簡単にまとめると「アプリケーションが動いている仕組みが公開されている」という意味です。
オープンソースで、仕組みを公開する事によって様々な人が開発に参加出来たり、透明性がアップするという特徴があります。
また、この条件にはプロトコルに関する条件あり、一般的にプロトコルは管理者によって変更する事が可能です。
プロトコルとは、アプリケーションが通信する際の決まり事です。
DAppsの場合は「決まり事(プロトコル)を変更する際には使っている人の同意が必要」というのも条件の1つです。
定義2 データの管理にブロックチェーンが使われている事
DAppsの定義には「データの管理にブロックチェーンを利用している事」という条件があります。(ブロックチェーンは公開もしくは暗号化されたもの)
代表的な例はビットコインですが、ビットコインはデータの管理にブロックチェーンを用いて、データの管理を行っています。
これによって、データの整合性・コストの削減を図っており、DAppsもそのような形でデータを管理している必要があるという事です。
定義3・4トークンに関するもの
定義3・4は主にトークンに関する定義です。DAppsでは
- 流通するトークンがある事(定義3)
- また、ユーザーに報酬が発生する際はそのトークンを使う(定義3)
- 暗号アルゴリズムでトークンを生成(定義4)
という条件が定義されています。
少し、条件が多くて理解しにくいかもしれませんが、要は「アプリ内での価値の移動はトークンを利用する」という条件があるという事です。
また、マイニングのようにアプリケーションに貢献した場合は、暗号アルゴリズムによってトークンを新しく生成するという点も条件に入っています。
DAppsの3つのタイプ
DAppsには、主に3つのタイプが存在しています。3つのタイプとは
- タイプ1 ビットコイン・イーサリアムタイプ
- タイプ2 イーサリアム等を利用するタイプ
- タイプ3 タイプ2のプロトコルを利用するタイプ
タイプ1は、ビットコインやイーサリアムのように「独自」のブロックチェーンを持っているものを指しています。
タイプ2は、イーサリアム等のプラットフォームを利用して、プラットフォーム上で開発されるアプリケーションを指しています。
タイプ3は、タイプ2のアプリケーションのプロトコルを利用したアプリケーションを指しています。
少しイメージしにくいかもしれませんが、タイプ1から3にどんどん繋がっていくようイメージです。
例えると、タイプ1は様々なものを動かす土台になるiPhoneで、タイプ2はそこで動くアプリ、タイプ3はタイプ2の仕組みを利用して動くアプリのことです。
ただ、変化の激しい仮想通貨業界なので、これからも新しいタイプのアプリケーションが出てくるかもしれません。
DAppsのメリット
DAppsの概要や特徴について理解した所で、知りたいのはDAppsのメリットだと言えるでしょう。
ただ、DAppsのメリットは沢山存在しており、一度に全てをご紹介する事は出来ません。なので「分散型・非中央集権」という特徴から考えられるメリットを解説していきたいと思います。
中央に権利が集中しない
中央に権利が集中しないというのは、大きなメリットだと思います。DAppsに限った話ではなく、はたまたアプリケーションに限った話ではありません。
例えば、現在の法定通貨は日本であれば「日本銀行」、アメリカであれば「FRB」が通貨の発行に関する権利を持っています。
ただ、これでは一部の権利者や一国の信用(円であれば日本という国)によって、価値やルールが変動・変更されます。
また、現状のアプリケーションやWEBにも同じ事が言えるでしょう。現在のアプリケーションやWEBは開発した組織に、権利が集中している状態です。
例えば、WEBサイトやアプリケーションのプロトコル等は、管理者の独断で変更する事が可能になりますし、それによって不利益を被る可能性も無きにしもあらずだと言えます。
データの透明性
DAppsはブロックチェーンを利用しているため、データが改ざんされたり・管理者の利益等によってデータが不適切な形で扱われる可能性が少なくなっています。
そのため、開発したアプリケーションで「価値の交換(取引)」が行われる場合、データの透明性はDApps特有の大きなメリットになります。
みんなで開発していく
DAppsの定義には「プロトコルの変更にはユーザーの同意が必要」という条件が存在しています。
これは開発を行う際に、変更を行いにくいというデメリットが発生します。(意見が食い違った場合)ただ、逆に言うと「みんなの意見が反映された形で開発が進む」という事にも繋がります。
このメリットは視点によって、メリットか?デメリットか?は変化すると思いますが、メリットだと感じる方も少なくないでしょう。
DAppsのデメリット
DAppsのデメリットには、どんなものが考えられるのでしょうか?様々な点が挙げられますが、大きな原因は「未発達である」という点でしょう。
DAppsのデメリットとして挙げられる点に、
- スケーラビリティ問題
(取引に長い時間が掛かる) - 手数料の高騰
(取引が増えると、手数料が大きくなる) - 価値の安定性
(トークンが発達していない場合は、価値が不安定)
DAppsには上記のようなデメリットが挙げられますが、全て「未発達である」という1点に尽きると思います。
スケーラビリティ問題や取引増による手数料の高騰というのは、技術が進歩していけば解決出来る問題ではあります。
また、価値の安定性という観点も、DAppsで開発されたアプリケーションのトークンの取引が増え、アプリケーションが発達していけば解決する問題です。
上記したような問題は、多くの仮想通貨・ブロックチェーンを活用したプラットフォームで発生しているので、DAppsに限った話ではありません。
DAppsの課題・デメリットというよりも、仮想通貨業界全体のデメリット・問題だと言えるでしょう。
DAppsの実用例
DAppsには、どのような実用例があるのでしょうか?毎日、様々なアプリケーションが開発されているため、全てを挙げる事は出来ません。
なので、今回は「プラットフォーム」「DEX」「ゲーム」という3つに絞って、代表的なものをご紹介したいと思います。
DAppsのプラットフォーム
プラットフォームは様々な解釈がされていますが、現在「プラットフォームビジネス」と言われるようなタイプをご紹介したいと思います。(AmazonやYoutube等)
DAppsを利用したプラットフォームとして、代表的なものに「CryptoCribs」があります。
CryptoCribsは民泊を行えるサービスです。支払いをイーサリアムで行う事が可能で、誰でもどこかで聞いた事があるサービスだと思います。
そう有名な民泊予約プラットフォームであるAirbnbの仮想通貨バージョンです。Airbnbが運営を行っているものではありませんが、全体的に似通ったものになっています。
DAppsのDEX
仮想通貨の取引所と言うと、一般的に運営者が存在し中央集権的なモデルを想像しやすいと思います。
ただ、中央集権的な取引所はこれまでに何度もハッキング事件等の様々な問題が発生しており、ここ最近DEXが注目されています。
DEXとは、Decentralized Exchangeの略で日本語だと「分散型取引所」という意味になります。
DEXでは、主にウォレット同士の取引が可能な取引所の事で、ウォレットとウォレットを直接繋ぐのでハッキング等のリスクが少なくなります。
現在、DEX型の取引所は増えており、その中から代表的なものは
- 0x
- EtherDelta
- Bancor
等の取引所が挙げられます。
DAppsのゲーム
DAppsと言うと「ゲーム」を想像する方も少なくないでしょう。というのも、DAppsの代表的なアプリケーションはゲームが多く、多種多様なゲームが開発されています。
その中から代表的なゲームを3つご紹介したいと思います。
Bitpet
まず、はじめにご紹介したいのは「Bitpet」です。Bitpetは「ブリーダー」になる事が出来るゲームです。
Bitpetの会員登録を行い、Bitpetのアカウントにイーサリアムを送信する事で「POP」というゲーム通貨に変換されます。(同じ割合1ETH=1POP)
Bitpetでは、ゲーム通貨のPOPで動物を購入し繁殖させたり、繁殖させた動物を販売したりする事が可能です。
また、ゲーム内にはミニゲームが実装されており、このミニゲームで他のユーザーと勝負し、勝利した場合に報酬がPOPで支払われるようになっています。(POPはETHに変換可)
CryptoKitties
次にご紹介したいCryptoKittiesも、Bitpetと同じようなゲームで「猫」を主に購入・販売・交配させるゲームです。
基本的な内容はBitpetとそれほど変わりません。ただ、CryptoKittiesの場合「一攫千金のチャンス」があるという点です。
一時期少し話題になりましたが、CryptoKittiesで交配された猫に「253ETH(当時のレートで1250万円程度)」の価格がつきました。
少し投資という側面を持ち合わせています。ゲームとしてはもちろん、お小遣い稼ぎとして利用出来るかもしれません。
くりぷ豚
次にご紹介したいのは、日本発のDAppsのゲーム「くりぷ豚」です。くりぷ豚は「豚」を購入したり、お見合いをさせて繁殖させていくゲームです。
基本的には、上記したCryptoKittiesが「豚」になったゲームになります。
豚を取引所から購入したり、取引所で取引したり、お見合いをして交配させたり等を行うゲームです。
ただ、くりぷ豚がこれまでの動物育成系ゲームと違うのは「日本発」であるという点です。
海外のゲームだと日本語に対応しているものは少なく、英語でもプレイ出来ない事は無いですが、少しとっつきにくい印象を抱いてしまいます。
ただ、くりぷ豚の場合は「日本語に対応」してるので、日本人でも普通のゲームと変わらずプレイする事が可能です。
また、ウォレットのアドレスを使わずに、TwitterのIDで送金等を行う事が可能です。(通常は長い文字列が必要になる)
日本語に対応している点、日本人に馴染み深いTwitterのIDで送金等が可能な事を考慮すると「日本人向け」なゲームだと言えるでしょう。
ETH.TOWN
最後にご紹介したいゲームは「ETH.TOWN」です。ETH.TOWNを簡単にまとめると「不動産投資」を行うゲームです。
ETH.TOWNでは「クリプトタワー」と呼ばれるブロックチェーン上に作られた仮想の不動産のフロアを購入し、運用します。(イーサリアムが必要)
購入した不動産からは、所有する事で発生する収益を受け取る事が可能になります。
かなり、本格的な不動産投資ゲームになっていますが、ミニゲーム等の要素もあるので十分にゲームとして楽しむ事が可能です。
また、今回ご紹介したCryptoKittiesとのコラボ等も計画されており、ユーザー数が増加すると見られています。
DAppsの将来性
この記事では、DAppsの概要からDAppsのアプリケーションまで、幅広く解説しました。
既に様々な可能性が咲きつつあるDAppsですが、推測しながら将来性という観点を最後にご紹介したいと思います。
DAppsの将来性は「仮想通貨が広がっていくかどうか?」に掛かっていると思います。何故なら、DAppsに関連するアプリケーションはほぼ全て仮想通貨を利用しています。
つまり、そもそも仮想通貨の認識・利用が広がらないと「DAppsに関連するアプリケーション」も利用されないという事にも繋がります。
例えば、先程ご紹介したDAppsのゲームは仮想通貨を既に保有していれば「やってみようかな」と感じますが、持っていないならわざわざやってみたいとも思わないでしょう。
しかし、DAppsから魅力的なコンテンツ・サービスを持ったアプリケーションが出てくれば、別かもしれません。(少しの面倒くささを覚悟しても利用したい!と思えるような)
ただ、1つ分かることは仮想通貨が普及すれば、DAppsは様々なアプリケーションの基礎となる仕組みなので、将来性は計り知れないと言っても良いでしょう。
そのため、DAppsの将来性は仮想通貨の将来性と比例していると思います。