トークンエコノミー

トークンエコノミーへの導入

「トークンエコノミー」という概念の始まり

「トークンエコノミー」という概念は、行動心理学の分野では「トークンエコノミー法」という認知行動療法として知られています。

「トークンエコノミー法」とは
「望ましい行動に対して、予め報酬の約束を行い、その行動を達成した時に約束通り報酬を与える」ことで、対象が抱く「行動に対する正当性」を強化する方法です。

ここでいう「トークン(代替通貨)」とは、”仮想通貨” のことを指しているわけではなく、広い意味で「価値と交換可能なもの」を指しています。

ブロックチェーン技術” が誕生し、今まで実現困難だった「報酬授受の仕組み」を形成することが可能となったことで、同技術を用いた「トークンエコノミー」の実現が期待されるようになりました。

現在、ブロックチェーン技術がもたらすものとして、”仮想通貨” の認知度が高まっています。

そして、仮想通貨は「決済性を有した新しい通貨」という認識を持つ人が多くいるでしょう。

しかし、ブロックチェーン技術は、より広範に応用させることができる技術であることが期待されており、現在様々な研究開発が行われています。

同分野において、「トークンエコノミー」は「ブロックチェーン技術がもたらす新たな ”報酬授受の仕組み”を利用することで形成される経済圏」を意味する言葉として用いられています。

ブロックチェーン技術の可能性

マイクロペイメント(micropayment)

現在の経済圏は、「法定通貨」が流通することにより成り立っています。

「モノを売買する」「給与を授受する」など、経済圏で発生する行動は「法定通貨の移動」を伴います。

そして、規模が大きくなるほどに、遠隔であるほどに、法定通貨の移動は困難となってきます。

そこで利用されているのが、「銀行等の金融機関が管理するシステム」です。

さらに、「銀行等の金融機関が管理するシステム」を利用する際の手数料として、「振込手数料」等が発生することになります。

この手数料は、システムの維持管理費用をベースに設定されるケースがほとんどです。

ブロックチェーン技術を用いた場合、システムの維持管理費用は非常に安価に抑えることができます。

つまり、仮想通貨・トークンの決済に伴い発生する手数料も非常に安価に抑えることができるということです。

さらに、ブロックチェーン技術を用いた仮想通貨・トークンの決済は1円以下の取引も可能とします。

ブロックチェーン技術を活用することで、「価値の移動」に対する費用を少額に抑えることが可能となるのです。

即時決済

ブロックチェーン技術を用いた仮想通貨・トークンの決済は、従来の法定通貨による決済と比較すると、非常に速く処理されます。しかも、その取引速度は距離に関係なく、ほぼ一定であり、利用時間帯などの制限もありません。

従来の銀行システムを利用した場合、利用する金融機関により異なりますが、日をまたいだ取引となることは確実です。さらに、利用時間帯などの制限もあり、時間外の取引については、次営業日に持ち越されることとなります。

ブロックチェーン技術を用いた仮想通貨・トークンの決済は、極めて速く処理され、現状の金融システムで課題とされていた「時間」に関する不便さを解消することが期待されています。

スマートコントラクト

スマートコントラクト自体は、ブロックチェーン技術特有の概念というわけではありません。

実際に、ECサイトを利用した商取引では、スマートコントラクトが導入されています。

そして、従来のスマートコントラクトでは、仲介者が存在することが一般的です。

しかし、ブロックチェーン技術とスマートコントラクトを融合させることで、この仲介者という存在が不要になります。つまり、スマートコントラクトをブロックチェーン上で機能させることで、仲介者を必要としない取引が可能になるのです。

ブロックチェーン技術とトークンエコノミー

「マイクロペイメント」と「即時決済」の効果

現在、「利用者の投稿によって情報を提供する」といった仕組みのWebサイトが多数存在しています。

SNSや各レビューサイトなど、現在では広く一般的なものとなりました。

ユーザーの投稿により成り立っている”このようなWebサイトですが、投稿者は運営者から直接インセンティブを受け取っているわけではないことが一般的です。

投稿者に少額の報酬を渡したいという運営者の希望があったとしても、従来のシステムで発生する「手数料」が立ちはだかります。この「手数料」を考慮した場合、投稿者に報酬を渡すと収益がマイナス化してしまう可能性は高いでしょう。

この点で、ブロックチェーン技術の有する「マイクロペイメント」や「即時決済」といった特徴が効果を発揮します。

仮想通貨やトークンの送金にかかる手数料は非常に安価であり、投稿者に報酬を支払ったとしても、運営元は収益を確保できる体制を維持できる可能性は高まります。

さらに、「報酬を受け取れる」というインセンティブが、投稿者の増加及び投稿者の質的向上を促す可能性も高まります。

ブロックチェーン技術を用いている仮想通貨やトークンを「報酬」とすることで、それらが流通(循環)する独自の経済圏(商圏)を形成するという選択肢が生まれるのです。

ステークホルダーのメリット

前述のように形成された経済圏(商圏)では、それを支持する人(ステークホルダー:その経済圏で流通している仮想通貨・トークンを保有する人)にもメリットを与えることができます。

自分が支持しているコミュニティで流通しているトークンの価値が高まれば、当然自身も恩恵を受けることとなります。つまり、ステークホルダーに対してもインセンティブを与える構図が出来上がり、ステークホルダーがそのコミュニティを活性化させる動機付けがなされることとなります。

これは、運営者側のメリットにもつながります。

トークンエコノミーの実例:SNSで普及し始めている「投げ銭」システム

現在、TwitterやredditなどのSNSで「投げ銭」システムが利用可能となっています。

リップルを用いたシステム「XRP Tip Bot」を利用し、投稿者にコメント・返信をするついでに、XRPをチップとして与えられる機能が存在しています。

前述した「トークンエコノミー」はSNSで既に実現され始めているのです。

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