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イオス(EOS)その1

イーサリアムを凌ぐ? EOS(イオス)は将来性を期待された実用性の高いdAppsプラットフォーム

EOS(イオス)は、ICOの資金調達用に発行された仮想通貨です。ICOを開始した後、わずか18時間で16億円もの資金を集めています。約1年後のICO終了時には、総額約4,500億円の資金調達に成功、時価総額が5位にランクインするなど大きな話題を呼びました。

2018年6月、イーサリアム(ETH)から独立した後も価格は上昇します。それほどの人気がある中、「トークン自体は価値がない」とされています。仮想通貨のEOSとは?dApps(分散型アプリケーション)プラットフォームとしてのEOSとは?誕生からこれまでの経緯を考察します。

EOSの基本情報

公開日:2017年6月26日
運営元:Block.one
通貨単位:EOS
アルゴリズム:DPoS
ブロック生成時間:3秒
発行枚数上限:10億枚
時価総額:6位(2019年4月10日現在)

仮想通貨としてのEOS

EOSはイーサリアムのブロックチェーン上で作成され、企業の資金調達を目的として発行されたERCトークンでした。2018年6月、イーサリアムから独立したことで、メインネットへ移行し、独自のブロックチェーン上で作成したEOSトークンを発行します。

ただ、独自のEOSトークンになっても、資金調達を目的としていることには変わらないので、決済や通貨といった特別な機能はなく、2018年6月1日の配布終了から48時間後には取引できなくなる仕組みになっています。つまり仮想通貨(トークン)としては「無価値」のままということです。

EOSが移行したメインネットって?

最初に「テストネット」について簡単に説明します。

  • テストネット
    テストネットとは事前に機能の動作の確認をする「テスト環境」のことです。メインネットとは互換性がないので、エラーになってもなんの影響もありません。またここで発行される仮想通貨やトークンにも価値がないので、安心してテストを繰り返すことができます。

次に「メインネット」です。

  • メインネット
    それに対し、メインネットとは、独立したブロックチェーンのことです。「メイン」の名の通り、その対象仮想通貨にとって「本番の環境」のことです。メインネット上で起こった出来事は、実際の価値や流通にも影響します。アップデートをするにも、まずは、テストネットでテストをし、問題がないことを確認してから、メインネットに移行するのが安全とされています。メインネット上で発行された仮想通貨やトークンは法定通貨と交換することができます。

dAppsプラットフォームとしてのEOS

dAppsプラットフォームとしてのEOSは独自のブロックチェーンを構築するための『EOSプロジェクト』を開発しています。そこにはソフトウェア「EOS.IO」が組み込まれています。親元だったイーサリアムと同じdAppsですが、とても優れた処理能力を持っているので、イーサリアム(を凌ぐ技術になるのではないかとされています。

EOSの特徴

EOSの特徴には、いくつかの特徴があります。

トランザクション(処理速度)の速さ

1秒間で100万以上の取引処理が可能です。ちなみに同秒でビットコインが処理できる取引は6件、イーサリアムは15件、そして初速度が速いと言われているリップルでも1500件です。クレジットカードより速いとされています。速い理由は「DPoSを採用」の項目で説明します。

取引手数料が無料

ビットコインも銀行や金融機関と比較数すると取引手数料は安いですが、EOSは取引手数料が無料です。dAppsを利用するときも、手数料無料なので、企業のような取引回数の多い場合は、EOSのアプリケーションを使う可能性が高くなるとされています。

アルゴリズムにDPoSを採用

EOSはアルゴリズム※1にDPoS(Delegated Proof of Stake)を採用しています。PoSの進化系で、コインの保有量に応じて、承認者を決める権利が保有者に与えられ、その保有者によって選ばれた承認者が承認を行うルールのことです。そして、選ばれた承認者はブロック生成で得られた報酬を選んでくれた保有者に還元することになっています。

PoSは……コインの保有量によって承認者をきめるルール
DPoSは……コインの保有量に応じて、最初に承認者を決める権利を与えられた①保有者が台頭し、次にその保有者によって②承認者が選ばれるルール

    • つまり、DPoSは選挙で承認者を決める

民主主義的なルール

    • ということになります。この選挙は、あらかじめきめれらた人数のみが当選し、少ない人数なので

承認スピードも速い

    です。また、「選挙」という1つの門をくぐることによって、マイナーへの直接的な報酬といった一極集中的なシステムを緩和させる分散的な仕組みであるといえます。
    • 【DPoSのデメリット】
    DPoSにはデメリットもあります。「選挙が中央集権的な体制になるのでは?」といった懸念です。コインの保有者が徒党を組んで、独裁的に承認者を選びはしないか?自分たちの都合のいいようにデータを改ざんしたりはしないか?などの危険性もはらんでいます。それでは仮想通貨の根本的理念である『非中央集権制度』とそぐわないものになってしまいます。

※1ブロックチェーンという仮想通貨を構築するシステムの上で取引を正当なものであると承認するルールのこと。DPoSの他にPoW、PoS、PoI、PoC、PoBなどがあり、ビットコイン(はPoWを採用、イーサリアムはPoSを採用している

EOSを格付けする機関

EOSは仮想通貨格付け機関から高い評価を得ています。

ワイズレーティングス社(Weiss Ratings)

保険や金融業などの格付けを行うことで有名なアメリカの機関のワイズレーティングス社は2019年3月26日、2つの仮想通貨のランキングを発表しました。1つ目は仮想通貨の技術と採用の面で、2つ目は総合評価の面です。

【技術と採用】
イオス(EOS)その2
参照元:COIN TOKYO
トランザクション量、ネットワーク容量、ネットワークセキュリティから導かれています。

【トランザクション数】
イオス(EOS)その3
参照元:COIN TOKYO
トランザクション数の点では、EOSは最高ランクを占めています。イーサリアム(の8倍、ビットコインの14倍になっています。また、仮想通貨の取引量は1年間で100倍に増えました。

【総合評価】
イオス(EOS)その4
参照元:COIN TOKYO
投資家の観点から仮想通貨をリスクとリターンの比率でランク付けしています。価格と時価総額により重点が置かれています。

中国情報産業発展センター(CCID)

「中国の格付け機関」といわれている中国情報産業発展センターは、第9回「国際バブリックブロックチェーンの評価ランキング」を発表し、2年連続でEOSを第1位に取り上げました。技術能力、アプリケーションの必要度、革新性の3つの要素を考慮したランク付けです。イーサリアムは2年連続で2位をキープしています。

ただし、このランキングに疑心的な見方もあります。EOSは中国系の仮想通貨なので、中国の格付け機関による評価が高いのは当然のことであるとの噂が立っているのです。果たして実際はどうなのでしょうか?

EOSの取扱機関

EOSを取り扱っている取引所はたくさんあります。以下はたくさんある取引所のほんの一部です。

・ビッサム(Bithumb)……韓国の取引所。1日の取引高が高く、世界で10位に入る取引高。日本語にも対応し、取引通貨は約50種類。EOSの取引高は世界一

・ビットフィネックス(Bitfinex) ……香港の大手仮想通貨取引所で、米ドルにおける取引高は世界で第1位。過去に2度のハッキング被害を受けて以来、セキュリティ面を強化。3.3倍のレバレッジ取引※2が可能で、レンディングサービス※3も利用できる。EOSの取引高も高い

・フォビ(Houbi) ……中国の大手取引所。日本のSBIホールディングスを連携し、信頼性も高い。独自トークンのHTと保有すると特典がつく。12種類のレバレッジ取引も可能。EOSの取引高は高い

・オーケーイーエックス(OKEx) ……中国の大手取引所。300種類以上の取り扱いを誇る。日本の取引所ビットバンクトレードと連携

・バイナンス(Binance) ……中国の大手取引所。取引高が世界最大と言われている。手数料が
0.1%ととても安く、取扱通貨数は70種類以上。取引所独自のコインBNBを発行

・ポロ二エックス(Poloniex) ……アメリカの取引所で数多くの銘柄を取り扱っている。手数料が安い。アルトコインのレバレッジ取引が可能

・ヒットビーティーシー(HitBTC) ……英の大手仮想通貨取引所。ICO直後の仮想通貨も取引が可能

残念ながらEOSを取り扱っている国内取引所はありません。

※2 少ない元手でその何倍ものお金を取引で動かせること
※3 ユーザーが保有しているコインを他のユーザーに貸し出しすることができるシステムのこと

EOSを保管できるモバイルウォレット

イオス(EOS)を保管できるモバイルウォレットもいくつかあります。

      • ・MetaMask
      • イーサリアム系の仮想通貨やトークンを保管できるウェブウォレットです。次に紹介するMyEtherWalletと連携もできます。特徴としてブラウザの拡張機能としてインストールができる点です。またスマホからも同様に拡張機能をインストールすることができます。

・MyEtherWallet
イーサリアム系の仮想通貨やトークンを銘柄ごとに保管、一括で保管できるソフトウェアウォレットです。ただ、その特徴を利用してサイバー攻撃の対象となることもあるので注意が必要です。

・Trezor
ウォレットの中でも最もセキュリティが高いのがハードウェアウォレットで、Trezorもその1つです。MetaMaskと同様に、マイイーサウォレットMyEtherWalletと連携ができます。こちらもイーサリアム系の仮想通貨やトークンを保管できますが、最初から連携はしていないので自分でMyEtherWalletとの連携を設定する必要があります。

・Bitpie
国内でリリースされ、安全に仮想通貨を保管できるスマホウォレットです。EOSを含む40種類以上の仮想通貨を保管できます。またマルチシグ※4が内蔵されています。Bitpie専用のコールドウォレット「BITHD(ビットシールド)」を使えば、安全に手元で資産管理ができます。

・Infinito Wallet
さまざまなコインやトークンをひとつのウォレットに管理できるモバイルウォレットアプリです。全てのイオス系トークンのサポートをしていて、エアドロップ の受け取りも含めて安全に一元管理することができます。データもサーバーに保管されず、インストールした端末内で暗号化して安全に保管されます。ですが、コールドストレージ※5ではないため、Infinito Walletをインストールしたスマホやパソコンなどをネットに接続されている状態は避けたほうが無難です。

・Ginco
Gincoは自分の仮想通貨を自分自身で安全に管理できる国内産モバイルウォレットです。特徴として強固なセキュリティと親しみやすいデザイン性、そして対応している仮想通貨は18種類と多いです。またアプリを所持しているだけでエアドロップ※6 に参加できるといった機能も備わっています。

※4 マルチシグネチャーの略で、トランザクションの署名に複数の秘密鍵(シークレットキー)を必要とする技術のこと
※5 ネットに繋がっていない、オフラインの状態で管理する仮想通貨用ウォレットのこと
※6 新しいトークンを流布するため企業が無料で配布するイベントのこと

まとめ EOSの将来性

・ICO資金調達のためのトークン(最初はERCトークン、後でEOSトークン)
・イーサリアムから離れ、メインネットに移行
・『EOSプロジェクト』を目的とした高機能で実用的なdAppsプラットフォーム
・トランザクションの処理速度が速い
・取引手数料が無料
・優位性ある技術とシステムで期待と共に価格が上昇
・国内取引所での取り扱いはなし

EOSは企業の資金調達のため、イーサリアムのプラットフォーム上で発行されたERCトークンでした。メインネットに移行後、独自のブロックチェーン上でEOSトークンが作成された後も「通貨(トークン)としての機能がない」という在り方は変わりません。

しかし、EOSが持つ分散型処理システムのハイスペックな技術と開発チームに大きな将来性を感じた人たちがEOSトークンを購入し、それと同時に価格も上昇します。今後もEOSは注目度の高いdAppsプラットフォームといえるでしょう。

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